しまなみ海道をサイクリングしたら地獄を見た話

今回は日常で自転車を乗らない私がしまなみ海道にて30kmサイクリングしてきたので、その奮闘記をご紹介します。

しまなみ海道でのサイクリングを考えている方で、特に普段は自転車に乗らない人に読んで欲しいですね。

忙しい人は「しまなみ海道サイクリングのまとめ」だけでもご覧ください。

あぐ
あぐ

これは忘れられない思い出ができたぜ…!

サイクリストの聖地・しまなみ海道!

しまなみ海道はこんなところ

広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶ全長約60kmの自動車道。瀬戸内海を横断する大橋からの景色はまさに絶景。サイクリングロードとしての整備もされており、自転車での走破も可能。

途中まで(or途中から)船で移動することで自身の体力に合わせた距離をサイクリングで楽しむことができます。

サイクリングについて

レンタサイクルがあるので誰でも気軽にサイクリングできます。詳しくはこちら(しまなみジャパンHP)。

電動アシスト自転車なら1日4,000円

クロスバイクなら1日3,000円でレンタル可能。

しまなみジャパンHPでモデルコースも公開されています。

行く前の考え

私は船で生口島まで移動し、そこから尾道までの約30kmを3時間かけて移動するプランを考案しました。

自転車の時速が大体13kmくらいらしいので、時速10kmで走っても間に合います。それに加えて電動アシスト自転車なので、もっと早く着くでしょう、という算段。

ちなみに3時間で尾道に帰って来れないと飛行機に間に合わないハラハラ行程です。さらに私は普段、自転車には全く乗りません。私にしては攻めた行程ですが…

あぐ
あぐ

まぁ大丈夫でしょ、電動だし

まさかあんな事になるなんて、この時は思いもしませんでした…。

実際に、走ってみた

始まりは尾道駅にある「尾道港レンタサイクル」。ここで電動アシスト自転車をレンタルしました。安全の為のヘルメットもレンタルでき、マップも配布されます。

ここからまずは船で生口島へ向かいました。船は自転車ごと移動可能なのでとても便利です。

思ったよりも小さい船ですが、しっかり自転車は積めます。

中はバスみたい!Suica対応しているので便利でした。

波を立てながら瀬戸内海を爆進していきます。

尾道から生口島の港「瀬戸田」までは運賃1,300円。これに加えて、通常の自転車を積むなら500円、電動自転車を積むなら600円の追加料金が必要です。

私の場合、合計で1,900円ということですね。詳しい料金についてはこちら。(瀬戸内クルージングHP)

所要時間約45分で生口島(瀬戸田港)に到着。ここからまずは耕三寺の観光をしました。美しい大理石の庭園が広がる「未来心の丘」を有する耕三寺の詳しい解説記事はこちら↓をご覧ください。

敵は距離ではなく天候だった。

耕三寺の観光を14:30に終了。尾道到着デッドライン時刻は17:30。予定通り3時間は確保できました。よし、まぁこれなら余裕だろう、と安堵しました。

ここから30kmの自転車旅が始まります。まぁ曇天なので100点の景色は見れないだろうなぁ、残念だなぁ。でも当初は雨予報だったし、まだマシかな。と思って自転車をこぎ始めると…

なんということでしょう、開始5秒で雨が降ってきました。

晴れ男で有名なこの私が、雨に打たれるなんて…!

ん?雨にしては音が変だな…というか、何か顔に当たる雨粒が痛いんだけど…

なんと、霰(あられ)ではありませんか!!

ポケモンの世界だったら毎ターンダメージを受けるあられ。現実世界の私も毎秒ダメージを受けることになりました。なーんて悠長なこと言ってますが、これがマジでしんどかった

晴れの中30kmを自転車で移動するよりも、霰の中30kmを自転車で移動する方が5倍くらいの負担がかかると思います。(晴れの中30km走ったことないから知らんけど。)

霰により体力とメンタルを削られながら、30kmのサイクリングが始まりました。

開始6kmで心が折れる。

サイクリング開始から30分。6kmほど進んだところにセブンイレブンがあり、一旦そこで昼食兼作戦会議をすることにしました。

この時の正直な気持ちは

あぐ
あぐ

めっちゃリタイアしてぇ…

でした。

まさかの霰。合羽も着ずに、荒天のためお喋りする余裕もなく、延々と漕ぎ続けてたったの6km。この5倍の距離進むのか…と正直絶望していました。

腹が減っては戦はできぬ、とナナチキおよびカレーパンを購入。冷え切った身体にホットスナックが染みわたりました。最高の昼食だった(´;ω;`)

食後、私はリタイア前提で帰路を調べました。

とはいえ自転車があるのでバスは不可能。瀬戸田港まで戻ってフェリーを待つか、隣の因島のフェリー乗り場まで自転車で進んでフェリーを待つか。

しかし瀬戸田港から尾道までの次のフェリー発車時刻は17:00。乗船時間は45分なので17:30までに尾道駅まで戻れず、帰りの飛行機にも間に合いません。(この時点では時刻15:10。)

隣の因島の乗り場についても同様で、次の便では17:30に尾道には間に合いません。

あぐ
あぐ

これもう気合で自転車で帰るしかないじゃん…

はい。更に心が折れました。

まぁ今冷静に考えれば17:45に尾道着でもタクシーで空港まで向かえば時間は楽勝なんですけどね。この時は疲弊してそこまで考えませんでしたテヘペロ。(思い付いてもタクシー課金額を計算したら実行しなかったかもしれませんね。)

覚悟を決めて、前に進む。

自転車があるのでバスは使えない。フェリーでは帰りの飛行機に間に合わない。この天候のまま後24kmを爆走するしかない絶望的な状況である旨を、今回の旅の同行者「すなふ」に告げました。

すなふ
すなふ

うん、まぁ何とかなるでしょ!!

すなふは自転車通勤をしているため私より自転車に慣れており、今のところ体力面では大丈夫らしい。(気を遣ったのかもしれないが。まぁ学生時代からの長い付き合いなのでそんな事もないか。)

よし、もうこれは進むしかない!!27歳の大人なんだから、最悪金の力でどうにでもなるだろ!!と覚悟を決めてセブンイレブンを後にしました。

実質一択しかない絶望的状況でしたが、すなふのポジティブな反応に助けられました。自分もこういう誰かの背中を押せる人間になろうな。

思わぬ強敵!島を渡る橋が…!

相変わらず霰が降っている中、最初の大橋「生口橋」に到着しました。生口橋は生口島と因島を結ぶ全長790mの橋です。

これは渡り切ったあとの写真です。思わぬ強敵だったのが橋のスタートラインに立つためにはソコソコの距離の勾配を越えなければならないこと。

橋って海からソコソコの高さがありますよね。そのために、螺旋状の勾配のある道を越えなければなりません。

地図で見るとわかりやすいですね。橋の両端にぐるぐるした道あるじゃないですか。これです。

電動アシスト自転車といえども、ここが本当にしんどかった

逆に、橋を渡り切った後はしばらく下り坂なので最高に気持ち良かったですね。飴と鞭がスゴイ。

ちなみに橋の上はこんな感じ。いやぁ、これが快晴だったらめっちゃ気持ち良いんだろうな。

無我夢中で漕ぐ。負けられない闘い。

因島に入り、黙々と漕ぎ続ける。

普段自転車を全く使わない私の脚は、既に疲労が溜まっていました。とはいえ、セブンイレブンの休憩前に比べたらそこまでしんどい気持ちではなかったです。

霰の環境にも慣れてきました。体力が少ないで有名な私なので、体力温存のために黙々と漕ぎ続けました。すなふごめん。でも、これは時間との闘いでもあるのです。17:30までに尾道まで辿り着かなければ、ここまでの苦労が水の泡です。

アスリートの気分で、数十キロ先のゴールに向かって走り続けました。

荒天でも瀬戸内海は綺麗だった。

因島入りから約10km進みました。

ふと左に目を向けると、瀬戸内海が広がっていました。

ご覧ください。天気は荒れているのに、海はこんなに綺麗なんですね!!

しばらくはビーチに沿ってサイクリングしました。これが最高に気分転換になりました。これ、絶対晴れの景色もいつか見に来たいですね…!!

2つ目にして最後の橋。因島大橋。

因島のサイクリングロードも制覇し、いよいよ最後の島「向島」に渡ります。

こちらが「因島大橋」です。全長1339mで、先ほどの「生口橋」よりも長い橋ですね。最大の特徴は、橋が2階建てになっており、歩道(自転車道)の上に自動車道があること。そう、つまり屋根がある!!

距離は長いですが、霰に当たらないので超快適!

橋からの景色を眺めながら漕ぐ余裕がありました。最高の構造ですね、素晴らしい。

しっかりと記念撮影。ずぶ濡れですが、これも勲章ですね。

ラストスパート。ただひたすら、漕ぎ続ける。

因島大橋を渡って向島に上陸。時刻は16:30。残り7.5kmの道のりです。いよいよラストスパートと言ったところでしょうか。実は生口島のセブンイレブンから休憩なしでここまで来ています。

たまーに休憩所はあります。一度でも止まったらもう漕ぎ始められないのではないかと恐れてスルーしましたが。

残り1時間で7.5km進まなければなりません。時速14kmを信じるなら余裕ですが、現時点で体力は限界に近かったです。電動アシスト自転車とはいえ、ペダルがとても重く感じました。

世界一美味しかった飲料。

時刻は16:55。さすがにトイレ休憩をしたくなり、目に付いた公園に止まりました。残り3km。制限時間30分。大丈夫、行ける、間に合う!と自分を鼓舞しながら用を足しました。

本当の本当にラストスパートだ!と自転車に戻ると…

私の疲弊具合を見かねたすなふが買ってくれました。

あ、あったけぇ…!

手袋をしていても降り注ぐ霰で指先は冷え切っていました。まずは手を温め、乾いたことすら忘れていた喉に流し込みます。五臓六腑に染みわたる瀬戸内産ほっとレモンは、世界一美味しい飲料でありました…!

地味だけど感動のラスト。ありがとう自転車。

ほっとレモンでエネルギーチャージ完了。最後まで降り続く霰の中、遂に尾道駅に到着しました!!厳密には尾道駅前までの数十mを渡してくれる船が出ている向島の港がゴールです。

この港のゴールが、スゴイあっけない。

しまなみ海道サイクリングコース達成!!みたいな標識とか看板とかあれば記念撮影で盛り上がるのですが、全くそんなものはなく…え?ここゴールで良いんだよね?と拍子抜けしてしまいました。

向島から尾道までの港は2か所あるので、もしかしたらもう片方の方が正統なゴール…なのかな?

まぁ何はともあれゴールです。良かった。一時はどうなるかと思った(´;ω;`)

尾道駅前のレンタサイクル前で記念撮影。あ、後ろの船は全く関係ないです。

ずぶ濡れになりながら、重い脚に鞭を打ちながら、カバンを水没させながら、無事ゴールしました。時刻は17:15。帰りの飛行機にも間に合いそうです!!完璧!!

最後まで無事届けてくれた自転車。愛車です。ここまで本当にありがとう。君たち電動アシスト君じゃなかったら、まだ因島辺りで泣きながら進んでいたのかもしれない。共にずぶ濡れになりながら、壊れることなく無事故で動いてくれてありがとう。

こうして我々の30kmサイクリング(天候:霰)は幕を閉じましたとさ。めでたしめでたし。

しまなみ海道サイクリングのまとめ

約30kmの距離、所要時間は…?

普段全く自転車を使わない私の場合、30kmの距離は2時間45分で到着できました。時速10kmくらいということですね。(電動アシスト自転車を使用しています。)

ちなみに、サイクリングロードは1km毎にゴールまでの距離が表示されています。

これのおかげでモチベーションが保てました。平坦な道のりであれば、1kmあたり5~6分で移動できましたよ。(時速12km)

「平坦な道のりであれば」と書いたように、しまなみ海道のサイクリングロードは思ったよりも坂道が多かったなぁという印象でした。大橋を渡り始めるときは暫く上り坂ですし、普通の道でも緩やかな坂がいくつかありました。

平坦な道のりは時速12kmだけど、しまなみ海道全体を通すと時速10kmくらいで計画しておけば安心でしょう。

しまなみ海道のサイクリングはおすすめできるか?

絶望だのアスリートだの述べましたが、これはあくまでも今回の天候の場合の話です。

天気さえ良ければ、安心しておすすめできます。

全体的に初心者に優しい

「初めての道だから迷子にならないか不安」

「地図を見るためにスマホを自転車に固定する器具とか必要かな?」

など心配していませんか?ご安心ください。基本的には道に引かれている青い線に沿って行けば良いです。

この青い線がサイクリングロードを示しているので、いちいちスマホ等で道を確認しながら進む必要はありません。

逆に言うと、この線が一瞬消える場所もあるのでそこはスマホのGPSを頼りました。一応曲がる際は標識もあるので、初心者でも道に迷いにくいという優しい設計だと思います。(線が消えている道は本当にドキドキしながら進んだ)

また、コンビニや休憩所も点在しています。積極的に活用すれば、体力に自信がない方でも最後まで走り抜けられるのではないでしょうか。

さらに、上述したとおり1km毎にゴールまでの距離が表示されています。少しずつゴールに近づいていることが実感できますね。大いに励みになる良い施策だと思います。

電動アシスト自転車がおすすめ!!

普通の自転車もレンタルできますが、+1,000円を支払ってでも電動アシスト自転車をおすすめします。普段自転車を使わないのなら、なおさらです。

一番の懸念点はバッテリーが持つかどうかでしたが、心配無用でした。

今回の30kmの道のりを走った後でさえ、残量70%

アシストレベルは3段階から選べます。最初は節電のつもりで最も省エネなアシストレベルで進んでいましたが、途中から体力的にしんどかったのでフルパワーアシストモードでした。それなのに残量70%ってスゴイですよね。しまなみ海道の約70kmも充電なしで走れちゃうのかな…?

下り坂で発電をしているようなので長持ちなのかもしれません。何はともあれ、残量たっぷりのまま走り続けることができたので精神衛生上とても良かったです。

シンプルに景色が良い

今回の記事は、いつもよりも写真が少なかったですよね。あんまり写真映えしなかったのかな?と思われた方もいるかもしれませんが、そうではありません。

悪天候だったので、ミラーレスカメラは封印してきました。

本記事の写真は全てスマホで撮影したものです。そこそこの降雨量だったので、スマホを取り出すのも必要最低限にしていました。よって、写真が少ない記事になってしまったのです。

写真こそ撮らなかったものの、景色はとても楽しめました。主に海岸線沿いを走っています。穏やかで美しい瀬戸内海を眺めながら優雅なサイクリングが楽しめるでしょう。(ただし、快晴であれば。

島に架かる大橋も写真映えしますね。大橋を背景に記念写真を撮ることも忘れないでください。(我々はそれどころではなかったですが(´;ω;`))

後日の身体への影響は?

自転車に全く乗らない人間がいきなり30kmもサイクリングしたら、さぞ脚の筋肉痛が凄いだろうと覚悟していました。

が、筋肉痛は全くありませんでした。

これって個人差でしょうか…?あまり体力に自信はない方であることに自信があるのですが…。参考にならない結果でごめんなさい。それか、やはり電動アシスト自転車によって負担が大いに軽減されたのでしょうか。

ただ予想外だったのが、後日2日はお尻が痛かったですね。

サドルに長時間座ることなんてなかったですから。サドルの形にお尻が痛くなりました。予防したい人はサドル用のクッションとか用意しておくと良いでしょう。

30kmのサイクリングを振り返って

オーバーに「地獄を見た」なんてタイトルを付けてみましたが、振り返ってみると良い思い出になるものですね。いや、本当に6km地点では絶望を感じていましたが。終わりよければ全てよしです。

晴れた日のサイクリングも経験しておきたかったですが、こんな悪天候下で30kmもサイクリングするなんて今の年齢でしかできない経験だったと思います。いつの日かペーパードライバーを卒業して、しまなみ海道を車で快適にドライブしてみたいものです。その時には「あ~この道を半泣きになりながら自転車漕いでたなぁw」と思い出してホッコリすることでしょう。

今回の経験は「自分は悪天候下の自転車で30kmも移動できるんだ!」という自信になりました。

どんな長い道のりでも進み続ければ必ずゴールできると学びました。

他の人があまり経験したことがないであろう貴重な経験をすることができました。

皆さんも、ご自身の体力に合わせたしまなみ海道サイクリングに挑戦してみてください。

もし当日が悪天候でも、何とかなるので実行してみてください。(責任は全く負いませんよ。)

きっと過酷で素敵な経験が待ち受けていることでしょう。

この記事が誰かの役に立てたのであれば幸いです。最後まで読んでいただきありがとうございました😊

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