正直、前回記事では行政書士試験に限った話ではなく、試験勉強全般に応用できる内容だったと思う。本記事ではようやく具体的な話になっていくだろう。今回のテーマは「行政書士試験のテキストについて」である。
本記事のリライトによりアフェリエイトリンクを掲載しているが、はじめに記事を作成したときはアフェリエイトリンクを貼っていなかった。
つまり、お金をもらっていなくても紹介していた参考書なので、本記事で紹介するテキストは心から正直なレビューになっている。ぜひ参考にして欲しい。
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本記事リライト時点で最新版の参考書リンクを掲載していますが、皆さまの購入日時点で最新版である補償はございませんのでご了承ください。
この記事の結論
そもそもこの記事のターゲットは行政書士試験受験生であり、受験生は勉強で忙しいはずである。従って、少しでも時間を無駄にしないために最初にこの記事の結論を述べるものとする。
読者には、この結論を最初に読んだ上で本記事が役立ちそうか見極めて、最後まで読むか判断して欲しい。
なお、文体が「です。ます。」ではなく「だ。である。」形式であるのも上記と同様の理由で、こちらの方がサクサク読めるのではないかと筆者が考えたからである。
使用したテキストの一覧・値段・購入日
一覧にまとめるとこの通りである。私は2022年度に初受験して不合格。2023年に再受験して合格できた。2年間を通した出費については受験料を除くと、教材費25,190円で合格できた。
以下、それぞれの教材について詳しく解説していく。
行政書士試験に向けて、始めの一冊に買うもの
試験を受けると決意したら、最初に何を買うだろうか。私は「その試験の勉強法がわかる一冊」を購入する。
どんな試験なのか。おすすめの参考書は何なのか。各科目別の対策はどうするのか。それらの情報が手に入り、かつ、その本を読むと合格できる気になってくるような、そんな一冊を選ぶ。
「その試験の勉強法がわかる一冊」を読むときに注意すべきこと
ちなみに、この類の本に記載の「おすすめの参考書」は鵜呑みにしてはいけない。大人の事情で同じ出版社の参考書を紹介せざるを得ない状況になっているのかもしれないからだ。あくまでも参考程度に読み流そう。
本当におすすめのテキストは、アフェリエイトではない個人ブログ等を2~3件徘徊して、そこで複数人が薦めているものが良いかもしれない。「かもしれない」と断定を避けたのは、やはり参考書には相性があるからだ。
フルカラーで丁寧な解説が載った問題集が良い人もいれば、とにかく問題数をこなしたい人もいる。最終的には自分で書店でパラパラめくって、本当にそのテキストと長期間ともに過ごせるか確認してから購入しよう。長旅の仲間になるのだから。
あぐの場合の最初の一冊
私は「中央経済社:豊村式合格メソッド100」を選んだ。
総評:買って良かったと思う。
「その試験の勉強方法がわかる一冊」はこれしか買っていない。従って、たくさんの本を読んだ上で薦めている訳ではない。しかし、これは買って良かったと思う。
試験の概要、独学でもできる勉強方法、試験対策にあたってのマインド、科目別の攻略法、実際に合格した者の勉強法エピソードが載っている。(もちろんおすすめの参考書も載っている。)
なにより、ちょっと立ち読みしてなんだか合格できる気になってきた。この感覚がとても重要だと思う。始めの一冊は、勉強のモチベーションが下がったときにこそ真価を発揮する。
勉強疲れたな。ライバルに置いていかれてるな。あーあ、なんでこんなに頑張っているんだっけ…。そんなときに「受験目的を思い出すこと」と「最初に買った一冊をパラパラ眺める」をするのだ。「絶対合格してやろう!」「なんだか受かる気がしてきた!」という気持ちが湧き上がってくるはずだ。私がそうだった。
正直、豊村氏について1mmも知らなかったし、今も全然知らない。(アガルートアカデミー専任講師らしい。)ただ、私の勉強モチベーションの維持を助けてくれて感謝している。
択一試験対策に買ったもの・使い方・レビュー
ここでは択一試験対策に買った参考書を紹介する。択一試験対策本は一番多く購入したが、これらを一度に購入した訳ではない。勉強を進める中で徐々に増やしたことを始めに断っておく。
TAC出版:合格革命 行政書士基本テキスト
数あるテキストでこれを選んだのは書店でパラパラ眺めて、これが一番自分好みだったから。(配色、図解の頻度等)
2022年度の受験生であるのに2021年度版である理由は、購入タイミング時(2021年5月)ではこれが最新版だったからである。一方で、記録によると勉強開始は2021年10月。これは、テキストだけ買って満足して暫く放置していたという恥ずかしい痕跡である。
法律関係の参考書はできるだけ最新の物をおすすめする。なぜなら、頻繁に法改正が行われるからだ。私が学生時代に学んだ「遺留分減殺請求」という制度が「遺留分侵害額請求」という名前も内容も変わっていたことに驚いた記憶がある。
使い方
法律科目については、「このテキストを何度も精読する」というよりは「サッと眺めて今後の問題演習で分からなかったところを見返しに来る」という使い方をしていた。私はとにかく問題演習を重視していた。
また、このテキストには別冊で六法も付いてくる。行政書士試験範囲の法律だけが載っている薄い六法なので重宝した。問題の解説に根拠法令が載っている場合は、面倒でも1回くらいは六法で法律を読んでみることをおすすめする。条文独特の言い回しが意外と記憶に定着しやすいからだ。(私だけだろうか…?)
一般知識については、ある程度の暗記が必要なので法律科目部分よりは精読をした。(それでもテキスト<問題演習であった。)
レビュー
図解や表でまとめていることが多くて読みやすい。わかりやすい。用語や具体例、根拠条文に改正情報まで記載されているので初学者にも優しいのではないだろうか。
デメリットは分冊にできないことであろうか。テキストである以上、とても分厚い。とても持ち運べるものではない。他のテキストであれば科目別に冊子を分ける機能があったりするが、本冊子にその機能はない。スキマ時間を活用する必要がある社会人受験生にとっては携帯性を重視すべきであろう。
とはいえ、デメリットを上回るほどの見やすさ・わかりやすさであった。総評は買って良かったと言えるだろう。
TAC出版:合格革命 行政書士基本問題集
基本テキストと対になる存在、基本問題集である。こちらは択一問題を中心としつつも、記述問題や多岐選択式問題も掲載があるオールマイティーな一冊である。実際の試験問題と同じように5肢から選ぶ問題演習が可能だ。
また、先ほどのテキストとリンクされており、問題の解説にテキスト版の何ページに詳しい解説があるか一目で分かる仕様になっている。私の痕跡によると、この冊子は6~8周したようだ。
使い方
掲載問題の多くは5肢択一型だ。実践通りの出題であるが、ここではすべての選択肢について正誤判断ができるかどうかを確認して欲しい。5肢択一なので、「これが絶対に正解だ!」とわかる肢もあるだろう。しかし、演習時に大切なのは他の肢のどこが間違いなのかも理解しているか?である。正解だけ見つけて終わり、という使い方はおすすめできない。
また、問題を解いた日と正誤を記録しておこう。いつ解いたのか。前回からどのくらいの期間を空けて、もう一度正解できたのか、連続で間違えたのか、前回合っていたのに今回間違えたのか。これらは貴重な情報である。直前期には正答率が低かった問題だけを再挑戦すれば良いので効率も良くなる。
レビュー
行政書士の試験問題の様子がよくわかる一冊なので、最初の問題集に丁度良いだろう。解説も丁寧だし、さらに詳しい解説が欲しければ同シリーズテキストの該当箇所を一瞬で開ける。
一方で、オールマイティだからこそ中途半端かもしれない。十分分厚い冊子なのだが、問題量はこれ一冊では絶対に足りない。全科目合計で350問しかない。これでは出題範囲をカバーしきれていない。記述問題や多岐選択式の掲載もあるが、数十問である。これらの対策特化本も別冊用意した方が良さそうだ。
もう一つ、致命的な欠点は記述問題でネタバレを喰らいやすいことである。例示した方がわかりやすいだろう。
「このような訴訟を何と呼ぶか」の問いに対する答えが「当事者訴訟」なのであるが、タイトルにデカデカと書いてある。このページを開いた瞬間にネタバレを喰らうのである。
私はこの対策として、タイトル部分に付箋を貼ってネタバレ防止した。製作段階で工夫をして欲しい箇所である。
総評としては、「まぁ買っても損はしないが、これ一冊では不十分」というところであろう。始めの一冊には丁度良いボリューム感・レベル感と丁寧な解説である点は強調しておきたい。
TAC出版:しっかりわかる講義生中継 商法・会社法
基本テキストや基本問題集を進めたところ、商法が全く分からなかった。
巷では商法は捨て問、勉強効率が悪い(理解に時間がかなりかかるのに出題数は少ない)などと言われているが、完全に捨てる勇気が出なかった。商法・会社法の基本的な仕組みや考え方がわかれば理解や得点に繋がるのでは?と期待して購入した一冊である。
結果、不合格だった2022年は5問中2問正解・合格だった2023年は5問中4問正解であった。
使い方
この冊子は問題集ではなくテキストであるので、ただひたすら読んだ。章末に確認テストとして数問の出題があるので、そこも解いた。
しかし、本当に読むのが辛かった。商法・会社法の理解は私には難しかった。一応初学者に向けて解説してくれているのだが、聞きなれない単語や理解しがたい独特の言い回しが多く、頭になかなか入らなかった。
これはテキストが悪いというより、商法・会社法が深い沼の科目なんだなぁと。完璧に理解しようとすれば、膨大な時間を割く必要があることを実感した。勉強効率が悪いと言われる所以がわかった。
2022年受験の時は、1周くらいしか読めていなかった。当然、頭に定着する訳が無い。当日は2問正解できたが、これは問題演習による賜物では…?と考えている。
そして2022年不合格。悔しさをバネに、齧り付くように本紙を読んだ。といっても精々3周くらいであったが。しかし、それでようやく、なんとなーく雰囲気を掴むことができた。
こうして2023年受験時に5問中4問正解。マグレの部分も大いにあることは認める。だが、マグレが当たるためにも「なんかこの選択肢のこの言い回しが怪しい」という直感を養うことはできていたと思う。
レビュー
総評としては、「じっくり読む時間と根気があるのなら、買っても良い。無理して買わなくて良い。」である。
商法・会社法という科目自体が難易度が高い内容だと思われる。「サクッと読んで理解したろ~」という軽い気持ちで手を出して良い一冊ではない。そもそも時間対効果が低い科目である。
しかし、正面から商法・会社法に向き合う覚悟があるのであれば、図解や赤字が駆使されていて(まだ)読みやすい本紙がおすすめだろう。
TAC出版:合格革命 行政書士肢別過去問集
学習開始から約4ヵ月。上述の基本問題集を何周か解いてみて、だんだん正答率が上がってきた。
「あれ、この問題集さえ完璧にすれば合格できるのかな?だとしたら楽勝じゃん♪」と調子に乗ってきた頃に購入。見事に厳しい現実を突きつけられた一冊である。
基本問題集の350問すべてが5肢択一式問題であったと仮定しても、350問×5肢=1750肢。1750肢だけ完璧にできても全く足りないことを実感した。
こちらの「肢別過去問集」は5肢択一式ではなく、1肢ずつの正誤を確認する問題集である。全2496肢。圧倒的な問題量だ。問われる知識も細かい内容になり、基本問題集(350問の方)をやっただけでは初見でなかなか正答できなかった。5肢の中から正解を一つ見つけることはできても、1肢ずつ正誤を判断する力はまだ養われていなかったようだ。
以下、本冊子は「革命肢別」(合格革命シリーズの肢別問題集だから)と表記することとする。
使い方
本冊子のような肢別問題集をひたすら学習すべきだろうと私は感じた。なので私は、ひたすら「革命肢別」を解いた。間違えた肢には☑マークを付けた。たまたま合っていた場合も☑を付けていた。
問題数が多すぎるので、学習日までは記録しなかった。(そもそも書くスペースがなさそう。)
解説を読んでもピンとこなければ、テキストに戻って復習をした。
直前期(9~10月)までは始めから最後まで何周も解いて、直前期からは☑がある問題だけを何周も解いた。
肢別問題集あるあるだが、極端に分厚くて重い。持ち運びの面では大きなマイナスポイントである。2022年受験生時の私はこのままの重い状態で持ち運び、スキマ時間で勉強していた。今年合格しちゃえばメルカリで売れるかも~というゲスイ下心もあった。
しかし結果は不合格。やはり下心があってはダメなようだ。なんとしても合格したい。次で終わらせる。覚悟の印として、4枚に下した。
これが存外良かった。持ち運びがしやすいので、ちょっとした買い物等にも持って行けた。今までスキマ時間として扱っていなかった時間さえもスキマ時間になった。
このように分割する方法が正しい使い方であるように感じた。
レビュー
革命肢別には感謝している。行政書士試験のテキストの中で一番利用した。私の基礎学力はこの冊子で鍛えた。だが、敢えて言わせてもらう。
革命肢別に載っていない問題が本番試験に出た。
一言一句同じ問題が出るとは私も思っていない。しかし、問われている内容は被ることが多いだろうと予想していた。
だが2022年試験当日。「あれ?なんか知らない話が多い気がするなぁ?」と感じてしまった。
具体的に覚えているのは「配偶者短期居住権」について。「革命肢別」には掲載がなかった。テキストの方には記載があったが、問題演習中心の学習方法なので、問題で出されない箇所はテキストを読んでいない。
たまたま、革命肢別に載っていない問題が出ただけだ。頻出じゃない論点だから革命肢別に載っていなかったのだ。革命肢別に載っていたのに私が当日間違えた問題も多くある。その結果の不合格であることは理解しているつもりだ。
だが、「あんなに革命肢別をマスターしたのに知らない問題が多かったなぁ」という印象は拭えなかった。
繰り返しますが、①たまたまそういう年だった ②私の練度が足りなかった という可能性を大いに孕んでおります。
個人的な総評としては、「買って良かった。だがこれだけで試験当日の全問が初見じゃなくなる訳ではない。」となってしまう。
補足だが、問題集としては良書である。解説は短いが要点がまとまっていてわかりやすい。基礎学力向上に大いに役立つはずだ。
TAC出版:合格革命 行政書士出るとこ千問ノック
革命肢別と同時購入した千問ノック。その名のとおり、千問の肢別問題集である。
革命肢別の2496肢と千問ノックの1000肢をやれば十分だろ~という安直な考えもあったが、真の目的は一般知識の問題演習をしたかったからである。
革命肢別では「基礎法学」と「情報通信・個人情報保護」の分野はあるが、「一般知識(政治・経済・社会)」の分野がない。
確かに、政治・経済・社会の分野は完全な暗記科目かつ広範囲であり、学習効率が良くない。「一般知識分野は基礎法学と情報通信・個人情報保護で得点を稼ぎや~」というメッセージかもしれない。
しかし、一般知識分野でも14問中6問以上正解しなければ足切り不合格になってしまう。さすがに政治・経済・社会のノー勉は怖すぎた。
そこで、せめて千問ノックに載っている知識だけは覚えておこうという気持ちで購入した。
使い方
こちらは分冊にするほど分厚いテキストではない。購入時の姿のまま、あらゆる所に携帯して繰り返し学習した。とは言っても、学習量は革命肢別>千問ノックであった。
本書で力を入れたのは、やはり一般知識。ロックとルソーは何を書いたのか。アダムスミスは?ケインズは?ウィーン条約の内容って何だっけ?
法律知識だけでも散々出てきた固有名詞。それと同量、あるいはそれ以上の量の固有名詞を更に覚えなくてはならない。
一般知識についてはこれ以上他のテキストに手を広げるのは良くないな、沼だな、と感じた。この直感を信じて本書の一般知識問題だけは完璧に解けるくらいには勉強した。
なお、2022年および2023年試験ともに一般知識は14問中9問正解できた。時事問題も含まれて「運ゲー」とまで言われる一般知識だが、まずまずの結果だろう。
レビュー
革命肢別と同じ「合格革命」シリーズであるが、革命肢別で問われる内容は一緒でも問われる表現が異なるので「ただ答えを暗記していないか」の力試しになる。
私は革命肢別を十分に回した後で千問ノックに着手した。革命肢別でぼんやりと「ここ苦手かもな」と思ったところが千問ノックで明確になった気がする。
千問ノックの方が正答のためにより細かい知識が必要な問題が多いと感じた。法律科目の知識補充としても、一般知識の問題演習用としても使える一冊であり、総評としては買って良かったと言える。
合格のLEC:出る順行政書士 肢別過去問題集
2022年度の試験にて不合格だったあぐ。革命肢別だけでは初見の論点が出る可能性があること・革命肢別の答えを覚え始めるまで周回したことを理由に、2023年度試験用に問題集を追加購入することにした。
追加の問題集としてこの一冊を選んだ理由は以下のとおり。
- 肢別問題集でゴリゴリ問題演習したかった。(本書は2500肢!)
- 革命肢別と出版社が異なるので問われる表現が微妙に違うはず。そのうえで解けるか?を試したかった。
- 一問一答アプリ付で、重い冊子を持ち歩かなくて良いのでは?と考えたから。
では、実際に使ってみてどうだったかを忌憚なくレビューしていく。
使い方
こちらは購入後、すぐに分割した。
使い方は合格肢別と同様。間違えた肢には☑マークを付け、たまたま合っていた場合も☑を付けていた。
分割の際は最初と最後のページの四隅をマスキングテープで補強することを薦める。持ち運ぶ機会が多いので、折れ・汚れ対策はしておこう。
2023年度試験に向けては、本書を重点的に学習した。6周くらいは全問に挑み、以後は一度でも間違えた問題・複数回間違えた問題を重点的に挑んだ。
革命肢別をほぼ完ぺきにマスターしたと思っていたが、本書の最初の1周目の正答率は7割くらいであった。やはり出題文の表現の違いで誤答してしまうようだった。次で必ず受かるんだという熱い意思を持って、本書を何度も反復学習した。
期待していたアプリについては、いまひとつ活用できなかった。
私の意見としては、少々使いづらかった。アプリ内の解説に手書き入力も可能だが、スマホに指で手書きするよりも紙に鉛筆で手書きする方が圧倒的に楽だろう。
誤タップによる誤答をしてしまい、「間違えた問題」として記録されることも地味に不愉快であった。
あと単純に、スマホは勉強以外のこともできてしまうので誘惑に流されやすい。アプリで勉強中にSNSの通知が来たら見てしまうだろう。私は通知を切っているが、それでも「ついでに写真開いちゃおう」みたいな無駄行動をしてしまった。
結局、アプリはあまり使わずに分割した冊子を携帯して学習していた。
レビュー
期待通りのボリューム感でとても満足だった。本書を重点的に利用した2023年度に合格できたため贔屓があるかもしれない。しかし、かなり幅広い論点を学習することができた。(もちろん「配偶者短期居住権」の出題もあった。)
「出る順」シリーズのテキスト「出る順・合格基本書」に対応するページの記載もあるが、本書の解説文だけで十分に理解できる程にわかりやすい。少なくとも私は、「出る順・合格基本書」を買っていない。無理に「出る順」に揃えなくても良いのはとても優れた点であろう。
おすすめの肢別問題集を一冊選ぶなら、迷わず本書を推薦する。
本書を徹底的に学習し、その上でどうしても2冊目に手を出したければ「革命肢別」等の他の問題集を買えば良い。
前述のとおり、アプリで学習できることについてはあまり期待してはいけない。本書自体はとてもおすすめできる一冊だが、アプリに期待して購入を検討しているのであれば、それはおすすめできないのが正直な感想だ。
アプリは「ノウン」というアプリをインストールする。アプリについての口コミは、アプリストアを見ると良いかもしれない。
論述試験対策に買ったもの・使い方・レビュー
ここでは論述試験対策に買った参考書を紹介する。論述試験が合格の鬼門である。
TAC出版:みんなが欲しかった!行政書士の40字記述式問題集
書店で何冊かの記述対策本からこちらを選んだのは、構成が気に入ったからである。
まず第一章で「記述式問題にはどう挑むか?」という基本的な考え方等が記されている。いわゆる座学部分である。独学である以上、ただ問題だけが載っているよりも基本的な考え方を学んでおきたかった需要に応えてくれていた。
第二章では、一つの問いに対して解答を導き出すための詳細な手順を解説している。一問に対しての解説(解答手順)を5~7ページを使ってとても丁寧に教えている。解法テクニックはここで学んだ。
第三章、第四章で計100問の記述問題と解答を掲載している。見開き1ページで完結する。私が好きな構成だ。
最後の第五章では多岐選択式問題が36問ある。当初は記述対策用に購入したためこの章はおまけの感覚であったが、最終的には多岐選択式問題の演習は本書のみで行った。
使い方
まず始めに第一章、第二章を熟読した。
その後はひたすら、第三章と第四章の問題演習に励んだ。とは言っても、不合格だった2022年試験対策時は記述対策にあまり時間を割くことができず、2~3周しかできなかった。(そして記述は60点中10点。当然の結果である。)
不合格の結果および記述の点数を受けて、「これは真剣に記述対策をしなければ」と心機一転。2023年試験対策時は10~15周した。答えを暗記するのではなく、解説そのものが頭に入るまで何度も解いた。(そして結果は34点。まずまずの結果だろう。)
要件が5つあるうちの3つは問題文に書いており、残り2つを書けば良い問題であったとしても、5つの要件を全て書けるようになるまで問題演習していた。
レビュー
恐らく1回くらいしか読んでいないが、第一章・第二章のインプット(解答の作り方)が効いていたように思う。特に初学者にはおすすめの章であった。「丁寧な字を書きましょう」レベルの当然なことまで書いてあったが、この章に90ページ近く割いているだけの価値は大いにあった。
問題集の部分は行政法30問、民法70問である。正直この問題数が最低ラインだろうと感じた。記述式問題で満点を取ろうと思うのならば、この問題数では足りない。しかし、この計100問の論点を全て頭に入れれば5~7割は十分に狙える問題数だろう。
実際に、2022年度・2023年度の記述試験を解いてみて「本書でやったやつだ!!」とはならなかった。
しかし、択一問題の勉強で培った知識を集約して、本書第一章・二章で学んだ解法を駆使することで2023年度の記述試験を6割正答することができた。
総評として、初学者であれば本書が圧倒的におすすめである。記述式で満点を狙いたいのであれば、本書だけでは足りないと言わざるを得ない。しかし個人的には何冊にも手を出すよりも、本書を完璧に頭に入れた方が合格に近づくと思っている。
合格のLEC:出る順行政書士 40字記述式・多肢選択式問題集
前回記事でお話したとおり、あれだけ「直前期に買い増すな」と言われていても買い増してしまい後悔した一冊である。
2022年度の記述が10点だったことを受けて「みんなが欲しかった!問題集(一個前に解説した本)だけでは論点が足りないのでは…?」と焦りから購入した。
こちらは記述式問題への基本的な考え方や解法などはなく、始めからいきなり問題演習に取り組むことができる。問題数は行政法32問、民法64問で「みんなが欲しかった!」と大差はない。
しかし、「みんなが欲しかった!」に載っていない論点がとても多い。
使い方
「みんなが欲しかった!」を完璧にマスターしたと思っていた直前期に本書を開き、初見では全く解けない問題ばかりだったため、38問目で挫折してしまった…。
なので私が本書の使い方を語る資格はない。38問目以降は問題を見ることもなく、本書を封印してしまった。私は本書の書籍代だけでなく、記述問題に対する自信も失ってしまったのである。
本記事を読んでいる皆に今一度伝えたい。
直前期に新しいテキストを購入してはいけない。
レビュー
従って、レビューする資格もない。
ただ、エアプ(エアープレイ。やってもいないのに空想で語ること。)で述べるのならば「みんなが欲しかった!」と本書を完璧にすれば、かなりの論点を抑えることができるのではないだろうかと思う。
しかし、記述対策本2冊を完璧にする時間など普通の受験生にはないはずだ。なのでここでは、初学者に優しい「みんなが欲しかった!」の記述対策本を推薦しておく。
模試として買ったもの・使い方・レビュー
合格のLEC:出る順行政書士 直前予想模試
本番試験さながらの演習ができる冊子。こちらは模試3回分+過去1回分の試験問題が収録されている。私が購入したタイミングが2022年度試験対策時だったため、2021年度の試験問題が付いていた。
問題は簡単に本書から取り外せるうえ、解答用のマークシート用紙も付いているので何もない机を用意して本番のように挑むことができる。
使い方
表紙に「記述式問題の無料解説動画」とあるが私は一切見なかった。単純に本書の解説だけで理解したからである。もしかしたら動画を見ればより理解が深まったかもしれないが、別に見なくても最終的には合格できた旨は伝えておく。
また、「出題予想㊙重要論点の袋とじ」と購買欲を煽り散らかしてくる付録があるが、一度サラッと見ただけで全く記憶にない。これもあくまでオマケと考えれば良いだろう。
さて、本題の模試について。先に述べた通り問題は冊子から取り外せるが、解答・解説は本書に繋がっている。私はとことん本番の環境で受けたかったので、図書館で利用したかった。
しかし、図書館に本書をまるまる持っていくのは少し重い。そこで私は解答・解説もカッターで本書から分離させた。持ち運びが楽になったので個人的にはオススメである。
また、計4回分の模試は試験本番4週間前から、毎週日曜日の午後1時から図書館の自習室で利用していた。本番と同じ曜日・時間で利用することで身体を慣れさせるためだ。
レビュー
解答用紙が付いているものの、2022年度試験対策時はそちらを使わずに手製の解答用紙を利用し、問題冊子に何も書き込まないように解答した。その結果、2023年度試験対策時には本書をそのまま利用できた。
したがって私は、2022年度試験直前と2023年度試験直前の2回も本書を利用できた。ちなみにその試験結果は以下のとおりである。(2023年度受験時は2021年度の過去問はやらなかったようだ。)
すべての回において合格だった。
まぁ2022年度では本番で不合格であったが。
しかし自信を持って本番を迎えることができた。自信を持たせるためにやや易しめに問題が作られているのか…?とも思ったが、真相は不明である。
模試は結果で一喜一憂するよりは本番の時間配分・苦手分野の洗い出しに活用すべきである。現に私も「自分は今どのくらいで全問を解き終わるのか?」「この科目はこのくらい考えてわからなかったら次に進もう」という作戦を立てる指標に大いに役立てた。
本書は4回分も挑戦ができ、解説も十分にわかりやすいため総評としては買って良かった、である。
次に読むべき記事
当記事では、私が行政書士試験に合格するまでに購入したテキストについて解説した。
しかし、合格のために一番重要だった冊子はこれらのどれでもない。最後の最後に何を言っているんだ?と思うだろうが、事実である。
では、「合格のために一番重要だった冊子」とは何か。
ずばり、苦手ノートである。
次回の記事で、「苦手ノート」とは何か。どうやって作るのか。どう活用するのか。詳しく解説するのでぜひ見ていただきたい。
こんな長い記事を最後まで読んだのに!!
と憤る者もいるかもしれない。そこは本当に申し訳ない。だが、本記事はあくまで「購入したテキスト」のレビュー記事である。「苦手ノート」は購入していない。
それに、筆者自身ここまで長い記事になるとは思わなかった。今から苦手ノートの解説を挟むと一番重要な内容なのに読む人が減ってしまう。少しでも多くの受験者の役に立つ記事作成を目指しているので、ここで記事を分けることについてご理解いただきたい。
前回記事を読まずに本記事を見始めた方は、ぜひ前回記事も読んでおいて欲しい。