富山県の北東部にある「黒部峡谷トロッコ電車」では、日本一深いV字峡谷を間近で見ることができます。
しかし!この電車の車窓が楽しめるのは一方の側だけ(進行方向によって変わります)なのです。乗車位置を適当に選んでしまうと、2時間ずっと壁 or 人の頭しか見えないという残念な結果になってしまいます。
そこでこの記事では、黒部峡谷トロッコ電車に乗ったときに大自然の絶景を最前線で見るために選ぶべき座席位置を紹介します。その席から撮影した写真と共に乗車体験レポートも行いますので、富山県を旅行する予定のある方・黒部峡谷のトロッコ電車に乗るつもりの方はぜひ最後までご覧ください。

窓がないトロッコ電車から見る黒部峡谷は筆舌に尽くし難い絶景でした…!
この記事にはアフィリエイトリンクが含まれています。
【おすすめの乗車位置】行きは右側、帰りは左側に座るべし!

結論から言うと、行き(猫又方面)は進行方向の右側、帰り(宇奈月方面)は進行方向の左側に乗車するのがおすすめになります。
宇奈月駅〜黒薙駅のうちの一部分ではどちら側に座っていても景色が良く見える場所がありますが、逆に言えばそこ以外ではおすすめじゃない側の席に座るとほぼずっと壁になります。
猫又駅方面に行く場合(行き)は進行方向右側の席がおすすめ!

私の場合、行き(猫又方面へ進む場合)は一番右側の席を確保することができました!
席は指定席ではありません。ホームに入った順番で好きな席に座るので争奪戦になります。
屋根はあるけど壁(窓)がないトロッコ電車。息を呑むほど美しい大自然の様子を最前線で見ることができて本当に良かったです…!(最前線で見た絶景写真は後ほど紹介します。)
宇奈月駅方面に行く場合(帰り)は進行方向左側の席がおすすめ!

一方で、帰り(宇奈月方面へ帰る場合)はおすすめじゃない側(進行方向右側)に座りました。行きでは最前線で絶景を楽しんだので、帰りは他のお客さんに譲ろうと思ったのです。

うわぁ、こっちはずっと「壁」ばかりの景色だなぁ…
トロッコ内の他の場所でも”行きと帰りで席の譲り合い”が発生していました。もし行きで座席の選択に失敗しても、運が良ければ帰りは譲ってもらえるかも…?

景色が見える側をがんばって覗こうとしても、他の乗客の方の頭でかなり遮られます。美しい写真を撮影したい場合は、やはりおすすめ側の席を確保したいところです。
行きと帰りで譲り合う場合
これは個人的な感想になるのですが、行きか帰りのどちらか一方で「おすすめ側の席」に座る場合は、行きで「おすすめ側の席」に座ることを推奨します。
理由は2つあります。1つは、行きの右側では「出し平ダム」が進行方向に見えるけれど帰りの左側で「出し平ダム」を見るには身体を振り返らせないといけないからです。

↑こちらが出し平ダムです。これは行きで撮影したものですが、行きはダムの斜面に向かって進んでいくので見やすい&撮影しやすいですよね。しかし帰りは、このダムの斜面を見るには振り返らないといけません。
逆に「行きの右側」よりも「帰りの左側」が見やすいスポットとして「ねずみ返しの岩壁」がありますが、一見どこかわかりにくい「ねずみ返しの岩壁」よりも「出し平ダム」の方が良い席から見たいです。まぁ個人の感想ですけど…

行きでおすすめ側の席を選ぶべきもう1つの理由は「初見を最前線で見た方が感動するから」です。
おすすめでない側の席に座ったとしても、他の乗客越しではありますが景色の雰囲気はわかります。帰りに最前線で景色を見ても、それは「既に見た景色を最前線で見ているだけ」になりますよね。
それよりかは、これからどんな景色が待っているかわからないワクワク状態で最前線から大自然を見る方が感動が大きいのではないでしょうか。少なくとも私は「行きでおすすめ側の席に座っておいて良かった…!」と思いました。

行きも帰りも最前線で見れるのが一番なんだけどね。
黒部峡谷トロッコ電車の乗車体験レポート

ではここから、宇奈月駅〜猫又駅の往復でトロッコ電車に乗車した私の体験レポートを紹介します。写真は行き(猫又方面)に進行方向右側の座席から撮影したものです。

どんな景色が見られるのかを追体験してみましょう!ちなみに実物の方が感動度20倍くらいあります(当然)
宇奈月駅までのアクセス

トロッコ電車の乗車駅である「黒部峡谷鉄道 宇奈月駅」までのアクセスは良好です。こういう山間の駅ってアクセスが大変なイメージだったので意外でした。
まずは新幹線の「黒部宇奈月温泉駅」からスタートです。黒部宇奈月温泉駅から「新黒部駅」まで徒歩5分程度で移動できます。「新黒部駅」からは電車1本(乗車時間約30分)で「宇奈月温泉駅」に着きます。
「宇奈月温泉駅」から徒歩5分ほどで黒部峡谷鉄道の「宇奈月駅」に到着です。新幹線を降りてから電車1本、40分くらいで到着できるのは便利ですよね。
新黒部駅→宇奈月温泉駅の電車は1時間に1本程度なのでご注意ください。
似たような名前の駅が多いので、乗換案内などで検索するときは駅名をよく確認しましょう。
宇奈月駅でできること

宇奈月駅の駅舎内にはレストラン・お土産屋・簡易フードコートがありました。乗車前後はゆっくり過ごすことができそうですね。
富山グルメのブラックラーメンや白エビ料理もあります。ただ、レストランの営業時間は10:00〜15:30と短めなのでご注意ください。

コインロッカーもありますが、400円〜500円と少し高め。トロッコ電車内に大きな荷物は持ち込めないので、できるだけ軽装で来るようにしましょう。逆に言えば、大きな荷物があってもコインロッカーがあるので安心です。
トロッコ電車内にトイレはありませんので、乗車前にはトイレも済ませてください。猫又駅に到着すれば仮設トイレがあります。(宇奈月駅→猫又駅まで片道約50分の乗車時間です。)
いざ!トロッコ電車に乗車!

自由にホームへ行けるわけではなく、発車直前までは改札にて整列します。改札が開いてからは早い者順で席を確保することになるので、早めに並んでおきたいですね。
乗車する車両の指定はありますが、席の指定はありません。自分が乗る車両を見つけたら好きな場所に座りましょう。私が利用したのは平日(木曜日)だったのですが、かなり混雑していました。(海外からのツアー客が多め?)

全員座れるようになっているようなので焦る必要はありませんが、やっぱり良い席はすぐに埋まりますね…

座るとこんな感じ。足元は結構狭いですね。1シートに3人座るので、隣の人との距離も近くなります。荷物がある場合は前に抱えるように持ちましょう。

席は窮屈ですが、トロッコが発車すれば狭さは気になりません。窓がないので開放的です!
黒部峡谷トロッコ電車の絶景を紹介

宇奈月駅を出発してすぐ、広大なうなづき湖を眺めていると西洋の城の一部のような建造物が見えてきます。これは「新柳河原発電所」だそうです。線路が伸びているので車両基地でもあるのでしょうか。

ずーっと広がる山の壁。撮影時は5月中旬なのですが、頂上の方には雪が残っていますね。雄大な景色とエメラルド色の湖がとても美しい景色でした。

山をよく見ていると、細い橋がいくつかあるのがわかります。「サル橋」と呼ばれ、サル専用に造られた橋です。山の開発に伴って向こう岸に渡れなくなってしまったサルへの配慮だそう。自然と文明の共存が垣間見えます。

なにやらサンタクロースのような衣装を着た石がありますが、これは「仏石」です。石の形が仏様に似ていることからそのように呼ばれ、今では観光スポットになっています。
緑が生い茂る中にあるので、トロッコが通過する前に見つけるのはちょっと難しいかも…?

こちらは後曳橋の通過中の写真です。下を見ると黒薙川が流れている様子がわかりますね。ガタガタと車体を揺らしながら橋を通って川を渡る風情を感じましょう。私はこのような景色が大好きですが、高所恐怖症には少しキツイのかな…?

先程も紹介した出し平ダムです。雄大な自然の中に突然現れる人工物のギャップがたまりません。この設備をつくるのにどれだけの時間と労力が注がれたのだろう…と思いにふけているとあっという間に通過しますのでご注意ください。

出平駅を通過する際には作業員の方々が手を振ってくださりました。
もともと黒部峡谷鉄道は電源開発の資材運搬や作業員さんのために整備されたものです。今でも多くの作業員さんが利用しています。観光用列車として安全に乗車できることに感謝しつつ手を振り返しました。

こちらは「出し六峰」と呼ばれる連山です。アニメやゲームでしか見たことがないような、幻想的な山の壁です。ここを人力のみで突破するにはかなりの労力がかかりそうですね…。自然の驚異、規模感に改めて心を打たれます。

この景色をガラス越しでなく見れるのが素晴らしい!!

この「黒部第二発電所」が見えてくれば、猫又駅まであと少しです。トロッコでしか行けない日本一深いV字峡谷の旅は圧巻でした。自然の力(パワー)が全身に注がれたような気持ちになります。
約1時間で猫又駅に到着

宇奈月駅の出発から50分〜1時間で猫又駅に到着です。この猫又駅で15分程度の休憩をした後、宇奈月駅に向けて折り返し運転を行います。
2025年5月時点では、能登半島地震の影響によりこの先へは進めません。

猫又駅には仮設トイレがあります。帰りも1時間くらいかかるので、念の為利用しておきましょう。仮設トイレとは言え清潔でしたよ!

猫又駅にある展望デッキ(?)からの景色です。こんな山奥なのに電波塔のようなものがたくさん立っていますね。ここまで開発を進める人間ってスゴイなぁ…。

先述のとおり、帰りはおすすめじゃない側の席(進行方向右側)に座ったのであまり写真は撮っていません。宇奈月駅到着直前に撮れた「新山彦橋」からの景色で締めましょう。
目の前に見えるもう一つの赤い橋が「山彦橋」で、こちらは徒歩で行けます。次の項目でご紹介しますね。
乗車前後に訪れたい!周辺の観光スポット

せっかく宇奈月駅に来たのであれば、トロッコに乗るだけでなく周辺のプチ観光も楽しみましょう。体力と所要時間に合わせて、どこまで行くかを検討してみてください。

山彦橋まではとても近いので、ここは皆さん行っておくべきではないでしょうか!
山彦橋で記念撮影しておこう!

宇奈月駅から少し歩いて階段を下り、3分くらいで到着する「山彦橋」です。結構しっかりしていて、揺れるタイプの橋ではありません。

この山彦橋から見えるもう1つの赤い橋が「新山彦橋」です。さっきはあの橋の上をトロッコ電車で通過しながらこちらを見ていたんですね。
深緑の山の間に川が流れ、その上に朱色の橋がかかっている光景はとても画になります。

ここでトロッコ電車が通過してくれたら最高に映える写真が撮れるだろうなぁ…!!とワクワクしながら待ちましたが、そんなタイミング良く通過しませんでした。

高所あるある、「底が見える場所」もあります。高い所が好きなのでウキウキで乗りました。このスリルがたまらん!

山彦橋の先を左へ進むと、もう一つの橋がありました。「The・吊橋」という感じで良い雰囲気ですね。でも全然揺れませんのでご安心ください。

そこからは「新山彦橋」と「山彦橋」の2つを画角に入れることができます。フォトスポットとして活用してみてはいかがでしょうか。
黒部峡谷トロッコ電車に乗る前にしておくべき準備

最後に、黒部峡谷トロッコ電車に乗る際に準備すべきことについて触れておきます。実際に乗車したことで気づいたことも含まれるので、ぜひ参考にしてみてください。
予約なしでも乗車可能!でもやっぱり予約が安心。

黒部峡谷トロッコ電車には予約なしでも当日券を購入すれば乗車することができます。当日券は宇奈月駅の窓口にて7:40から販売されるようです。
しかし、5月の平日(もちろんゴールデンウィーク期間ではありません)にも関わらず大混雑していた様子を見ると、希望の時間に乗車するには予約しておいた方が安心でしょう。
こちらの公式サイトからWebチケットを購入できます。
トンネルは意外と涼しい!夏でも羽織物があると◎

トロッコ電車ではトンネル内を走行することが多いですが、そのトンネル内は結構ひんやりとしています。電車のすれ違いの関係でトンネル内に一時停車することもあるので、寒いのが苦手な人はカーディガンなどの羽織物があると良いでしょう。
そもそも峡谷は天候が変わりやすい特徴があるので、+αで1枚あると安心です。
窓がないので雨天は大変?虫対策も必要

通常の客車は(トロッコなので当たり前ですが)屋根はあるものの壁と窓はありません。つまり、雨天時には雨が横から入ってきます。車内で傘を差すわけにはいかないので、雨の疑いがあればカッパを用意しましょう。
また、虫なども入り放題になります。私が利用したときはあまり気になりませんでしたが、季節や条件によっては虫対策も必要かもしれませんね。

大自然に囲まれた状態で一時停車することもあります。その時に蜂とか来たら嫌だなぁ…。

雨も虫も絶対にイヤだ!という方には、追加で600円必要ですが「リラックス客車」というものがあります。いわゆる普通の電車みたいな感じで、シートには背もたれがあり壁に守られています。
でもこれだとトロッコの開放感という醍醐味が丸つぶれですよね…。景色か快適さか、総合的に判断して客車を選んでください。私は断然普通客車(トロッコ)がおすすめです。
【まとめ】良い席に乗車して黒部峡谷の絶景を楽しもう!

日本一深いV字峡谷である黒部峡谷。ワイルドな山の中を大自然のパワーを浴びながら進むトロッコ電車は気分爽快でした。でも、座る位置を間違えたら感動は半減してしまいます。
- 行き(猫又駅方面)は進行方向の右側
- 帰り(宇奈月駅方面)は進行方向の左側
- 行きか帰りのどちらかしか席を選べないなら、行きで良い席を取るのがおすすめ
このことをしっかりと頭に入れて、トロッコ電車に乗ってみてください。窓など遮るものがない状態で見る山々の景色は、写真や文字では伝えられないほどの迫力と感動があります。ぜひご自身の目で確かめてくださいね。
この記事の情報があなたの旅行に役立てば幸いです。
もしよろしければトップページから他の旅行記も読んでみてください。次の旅行に役立つ情報があるはず!