- ホテル川久の歴史や「なぜあんな建物が建ったのか」が気になる
- 宿泊しない場合でもホテル川久に入れるって本当?
- 美術館が好きなので川久ミュージアムに興味がある
その圧倒的な存在感から、県外の人にも知れ渡っている和歌山県・白浜の「ホテル川久」。宿泊しようと思うとかなり高額なので、行く機会なんて絶対にない…なんて思っていませんか?
実はホテル川久の1階・2階は「川久ミュージアム」という美術館のようになっていて、宿泊客でなくても入場料を支払えば展示物やロビーなどを見学することができるのです。

そこで本記事では、実際にホテル川久に宿泊したうえで、館内を解説してくれる「ミュージアムツアー」に参加してきた私が川久の歴史と見どころを徹底解説します。
この記事を読めば、川久が「バブルの遺産」という一言では片付けられない、世界中の職人の本気が詰まった建物だとわかるはずです。訪問前の予習にピッタリなので、ぜひ最後までご覧ください。

結論、川久は泊まらなくても1,000円で見学できる「美術館」です!
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【まずは結論】ホテル川久は「見学できる美術館」だった!

ホテル川久は現役のホテルでありながら、1・2階が「川久ミュージアム」という私設美術館として一般公開されています。
入館料は一般1,000円(宿泊者は無料)で、泊まらなくても館内の金箔天井や美術品を見学できるのです。

さらに宿泊者向けには、スタッフが館内の歴史と見どころを解説してくれる無料のミュージアムツアー(約30分)が開催されています。
最初は「豪華なホテルだなぁ」という感想しかなかった私が、このツアーに参加したことで「あれもこれも、偉大な芸術家たちの至高の逸品なんだな…」と深い感銘を受けるに至りました。
この記事では、ツアーで聞いた話・ミュージアムのパンフレット・公式情報をもとに、川久の歴史→ツアー体験レポ→見どころ7選→入館情報の順に解説していきます。
【ホテル川久の歴史】400億円の夢と挫折、そして再生
バブル絶頂期に始動した「世界の数奇屋」プロジェクト

川久の前身は、同じ白浜の地で営まれていた老舗旅館「河久」(最初は「河」の字が使われていた)です。
転機は1989年。日本がバブル絶頂期を迎える中、ヨーロッパ、アフリカ、アジア、そして日本各地から一流の技術を持つアーティストが集結し、「世界の数奇屋」を作る壮大なプロジェクトが始動しました。

その参加条件は「世界のどこにもないオリジナリティを追求すること」のみ。納期もコストも二の次という、今では考えられない発注方式だったそうです。こうして1991年、総工費400億円・延床面積26,000㎡の「夢の城」が完成しました。
設計は永田・北野建築研究所(代表・永田祐三氏)。その建築的価値は高く評価され、1993年には優れた建築作品と設計者に贈られる「村野藤吾賞」を受賞しています。
「馬鹿馬鹿しいことを、馬鹿馬鹿しいほどまじめにやり続けると凄いものができる」という創業時の言葉が、私の胸に刺さりました。
経営破綻からカラカミ観光による再生へ
開業当時は会員制の超高級ホテルでしたが、バブル崩壊とともに経営が悪化し1995年に経営破綻します。その後、1999年に北海道のカラカミ観光(現Karakami HOTELS&RESORTS)が取得し、誰でも泊まれるホテルとして再生しました。

そして2020年6月、30年の時を経て、オーナーズコレクションを一挙公開する私設美術館「川久ミュージアム」として新たな歴史が始まります。
検索候補に出てくる「ホテル川久 事件」「怖い」という不穏なワードは、この「400億円→破綻→再生」というドラマチックな歴史への好奇心から来ているものと思われます。

実際に泊まった感想としては、怖い要素は皆無でした。
むしろ歴史を知るほど愛着が湧く建物です。
【宿泊者は無料】ミュージアムツアーは参加必須!
参加方法は「螺旋階段前に集合」だけ

ミュージアムツアーは予約不要です。私が宿泊した2026年7月時点では14:00と16:00の1日2回開催されており、開始5分前くらいにロビーの螺旋階段前に集合するだけでOKでした。私は15時頃にチェックインしたので、16:00の回に参加しています。
参加者はかなり多く、体感で40人以上。大所帯ですが、途中で抜けるのも自由なので気軽に参加できます。所要時間は約30分でした。
開催時刻・形式は変更される場合があります。
ツアーの流れと「Kの金箔」伝説
ツアーの解説の流れは以下のとおりでした。
- 川久の歴史(オーナーの想いと建築の経緯)
- 屋根の瑠璃瓦
- 天井の金箔
- シュトックマルモの柱
- 足元のモザイク画
- エレベーターホールのビザンチンモザイク
- エレベーターについて
- 回廊の壁と「サラ・チェリベルティ」
パンフレットに載っている展示すべてを回るわけではありません。

印象に残ったのは、金箔天井の小話。約19万枚の金箔のうち、たった1枚だけ職人が”川久”の「K」の文字を書き入れたものがあるそうです。そして、まだ見つけた人はいないのだとか。

どこにあるんだろう!こことか怪しそうじゃない!?

(伝説というか、逸話の類じゃないのかな…笑)
同行者すなふはがんばって探そうとしていましたが、結局見つかりませんでした(そりゃそう)。皆さんもホテル川久に入る機会があれば探してみてください…!
【外観&1階】ホテル川久が魅せる、世界中の匠の本気

ここからは、ツアーとミュージアムパンフレットで知った見どころをフロア毎に紹介します。数字はすべてミュージアム公式資料・パンフレットによるものです(2026年7月時点)。
外観&1階の見どころ→2階の見どころ の順で、ミュージアムツアーのガイドさんによる情報も交えつつ解説していきます。
ギネス認定の金箔天井|19万枚・22.5金

ロビーの天井一面、約1,200㎡を覆う金箔。フランスの金箔職人ファブリス・ゴアール氏(ロベール・ゴアール工房)が、5cm角のドイツ製金箔を1枚ずつ手作業で約19万枚貼り付けたものです。
総重量2.5kg、純度は22.5金。「陽にあたる時もっとも美しくロビーを照らす」ように計算されているそうです。

この金箔天井は2020年8月25日、「最大の連続して金箔押しされた天井」としてギネス世界記録に認定されました(金箔表面積1,056.97㎡)。
館内にはギネスの登録証も展示されています。手がけたゴアール氏は、2010年にフランス文化省認定の人間国宝「Master of art」に認定された、まさに世界一の金箔職人です。
紫禁城と同じ瑠璃瓦「老中黄」47万枚

屋根に使われているのは、中国・北京の紫禁城と同じ瑠璃瓦です。その色は皇帝以外の使用が許されなかった「老中黄」が使用されています。

なんと21回も中国に渡航して、「これを使わせてください!」ってお願いしたんだって!

紫禁城の瓦を焼き続けてきた瑠璃青磚廠(るりせいせんしょう:工場を指す)が国外向けに老中黄の瓦を47万枚も焼いたのは長い歴史上初めてのことだったそうです。屋根伏せ面積は2,200坪に及ぶとのことで、まさにスケールが違います。
シュトックマルモの柱|世界唯一の蒼い列柱

ロビーの輝く天井を支えるのは、全24本・直径1.6m×高さ7.4mの柱です。左官職人・久住章氏がドイツで習得した「シュトックマルモ」技法で仕上げたもので、蒼い円形の列柱としては世界で唯一無二の作品とのこと。

ガイドさんによると、本当はブラジル産の青い天然石「ブルーバフィア」で柱を作りたかったものの、あまりに希少で柱24本分もの量が採れず、久住氏がドイツまで技法を習得しに行くことになったのだとか。
あまりの大変さに久住氏は「もう僕、二度と作らないですからね」と何度も言っていたそうです(笑)。開業から30年以上経った今も、柱は青く美しいままでした。
ローマンモザイクタイルの床|1cm角×1,500㎡

ロビーの床、約1,500㎡には約1cm角のローマンモザイクタイルがびっしり敷き詰められています。イタリア・フリウリ地方のモザイク職人集団が、一枚ずつ手作業で床に埋め込んだものです。

ガイドさんによるとこのレベルの小さなタイルは機械でカットできず、金槌とノミで砕きながら1個1個作られたそうです。そんな手間ひまかけたものを踏んでしまっていいのか…?

白・黒・グレーとあえてモノトーンなのは、お客様の装いを際立たせるためなのだとか。たしかにこの上に立って写真を撮ると、服の色が綺麗に映えます。「お客様を喜ばせる」ことに徹底した設計ですね。

一部にはガラスのカラーチップで藤の花が描かれたものもありました。モノトーンではないとはいえ、ここでも控えめな淡い色が使用されていますね。
モザイク画は2階から見下ろすとまた綺麗な景色を見せてくれるので、足を運んだ際はぜひ高い位置からもご覧ください。
屋外のうさぎ像|バリー・フラナガンの世界最大作品

ホテル川久の正面、高さ21mの塔の頂に幅6m・高さ5mのブロンズうさぎ2羽が鎮座しています。
イギリスの彫刻家バリー・フラナガン氏が川久のために作った特注品で、同氏のうさぎ像として世界最大サイズだそうです。青空を飛ぶようなシルエットは、川久のシンボルになっています。
3基の豪華エレベーター|細部まで一級品

エレベーターは、柱に使うことを諦めきれなかったあの「ブルーバフィア」を壁面にあしらっています。かなり重量感のある造りで、1基1トンを超えるんだとか。ガイドさん曰く、完成当時は世界で2番目に重いエレベーターだったそうです。

ロビーの天井は「22.5金」ですが、エレベーター3基のうちの一つに「24金」が使われたものもあります。24金とは、金の純度が99.9%以上の純金を指します。
もともとはロビーの天井すべてを24金にしようとしていたものの、ロビーは陽の光で一番美しく輝く22.5金に変更された関係で、使わなくなった24金をこちらに使用したとのことです。

移動手段ですら美術品になってるんだなぁ…!!
ビザンチンモザイク画|感動のあまり号泣する人も…!

個人的に衝撃だったのは、壁面に埋め込まれたビザンチンモザイク画。シリアの遺跡から出土し、ニューヨーク・メトロポリタン美術館の鑑定で2世紀に制作されたことが判明した貴重品が4点も埋め込まれています。
約1,900年前の美術品が目の前の壁に…。しかも手を触れてもOKという太っ腹ぶりです。

ガイドさんによると、当時の専務(堀氏)がエジプトを訪れた際、カイロ博物館の館長の孫娘にあたる考古学者さんと意気投合。「日本でホテルを建てているなら、完成したら私からプレゼントを贈るわ」と約束され、ニューヨークでの修復を終えて届いたのがこのモザイク画だったそうです。
このモザイク画の説明をガイドさんがしていると、説明を聞いていたマダムが突然号泣し始めました。この作品が経た長い長い年月に感銘を受けたのでしょう。
説明を受けなかったら「なんか凄いなぁ」で終わっていたかもしれないこの作品の凄まじい価値を知ることができて本当に良かったです。このエピソードだけでもミュージアムツアーに参加した甲斐がありました。
【2階】回廊と宴会場「サラ・チェリベルティ」も見逃せない

ツアーは2階にも続きます。宿泊者以外は素通りしてしまいそうな「壁」と「宴会場」にこそ、川久の本気が詰まっていました。
サハラ砂漠の砂を諦めて生まれた「珪藻土の壁」

2階回廊の白い壁は、今でこそバスマットなどでお馴染みの珪藻土製でできています。ガイドさんによると、当初は「サハラ砂漠の砂で壁を作りたい」と実際に試したものの、砂の匂いがあまりにひどくて断念したのだとか。
結果、匂いも湿気も吸ってくれる珪藻土に落ち着いたそうで、ジメジメと暑い白浜の気候にぴったりの選択でした。客室のある3〜8階の廊下の壁も同じ珪藻土だそうです。
陶板の壁と「だまし絵のドア」

回廊の反対側は、ピンクと緑の可愛らしい市松模様の壁です。
これは陶芸家・加藤元男氏(美夜之窯)による1枚1枚焼き上げた陶板製の壁で、金属枠に見える部分まで焼き物で出来ています。焼き物ゆえに色の滲み具合がすべて異なり、回廊を1周ぐるりと囲んでいました。壁そのものも作品なのです。

この壁にある従業員用のドアは、フランスの画家ジャン・パロー氏によるだまし絵が描かれています。

だまし絵の割には明らかに違いがバレバレでしょ(笑)
なんて思っていましたが、実は最初に描いてもらったドアのだまし絵が似すぎていて、スタッフがドアを見つけられなくなる事態が続出したそうです。
そこで、「申し訳ないけど、わざと下手に描き直してくれ」と依頼したものが現在のドアなんだとか。そこまでソックリなだまし絵、逆に気になりますね…。

ちなみに食事会場の壁には消火栓が隠れています。これはうっかり見落としてしまいそうなくらいのハイクオリティ作品です。たしかに質感までソックリに描かれていますね。

これはこれで、緊急時にちゃんと見つけられるのか心配…
宴会場「サラ・チェリベルティ」|削って描かれた天井画と面白い仕掛け

ツアーの最後は、2階の一番奥にある約300平米の宴会場「サラ・チェリベルティ」へ。サラはイタリア語で「広間」、チェリベルティは天井画を描いたイタリアの画家ジョルジオ・チェリベルティ氏の名前です。

天井画のテーマは「愛と自由と平和」のため、入口側の天井にはたくさんのハート(愛)、奥には大きく羽ばたく蝶(自由)、中央にはオリーブと緑の花(平和)が描かれています。

お世辞にも絵が上手とは言えない気がするけど…(小声)

天窓に描かれた時計に針がないのは、「愛は永遠、愛は時を超える」という意味が込められているからだそうです。ロマンチックですね。
この天井画はペイントではなく、色層を削って絵を出す「スグラッフィート」という技法で描かれています。そして黒・赤・青・白の4色の「削れる天井素材」を開発したのが、なんとあの柱の久住章氏ら左官職人チームだそうです。

ガイドさんによると、チェリベルティ氏は自宅にこの部屋と同じ300平米の模型を作って練習していたものの、素材が硬すぎて「何年かかっても完成しない」状態に。
そこで久住氏が「柔らかくて発色の美しい素材を用意して日本で待ってます」と約束し、飛行機恐怖症だったチェリベルティ氏も「彼が待っているのなら」と来日した——つまりこの部屋は、イタリアの芸術家と日本の左官職人の合作なのです。

さらにこの部屋は、ヨーロッパのドームと同じく端に行くほど音が響く設計で、誰もいなければ手を叩くと最長7秒ほど音が残ります。ガイドさん曰く「宴会で他人の悪口が言えないように」こんな設計をしたとのことでした。
2人組の場合、お互いがホールの端に立って、小さな声を出してみてください。かなりしっかり聞き取れるので、「これはヒソヒソ話できないな…」と実感できますよ!
ダリも横山大観も!オーナーズコレクションが凄い

川久ミュージアムでは、美術収集家だったオーナーが世界中から買い付けたコレクションも公開されています。
サルバドール・ダリ、マルク・シャガール、横山大観、ヘンリー・ムーアといった巨匠の作品が、宿泊もできる建物の中にさらっと展示されているのだから驚きです。

ほかにも、旅館時代のシャンデリアが残る和室「斗酒千吟」の舞妓画(中尾淳氏)、清時代の中国骨董、ヘンリー・ムーア「母と子」が展示されたドロミティルームなど、見きれないほどの作品がありました。

見どころがいっぱいある…!すごい楽しい!
川久ミュージアムの入館料・営業時間・アクセス

最後に、川久ミュージアムの入館情報をまとめると以下のとおりです。
| 名称 | 川久ミュージアム(KAWAKYU MUSEUM) |
| 開館時間 | 10:30〜18:00(入場は閉館の30分前まで) |
| 休館日 | 不定休 ※訪問前に公式サイト・SNSでご確認ください |
| 入館料 | 一般1,000円/高校生・大学生800円(学生証提示)/中学生以下無料 ※ホテル宿泊者は無料 |
| 撮影 | 写真・動画撮影可(フラッシュ・三脚は不可) |
| 住所 | 〒649-2211 和歌山県西牟婁郡白浜町3745(ホテル川久と同じ入口) |
| アクセス | JR白浜駅からホテル無料送迎バスで約10分/南紀白浜空港から車で約10分 |
| 公式サイト | https://www.museum-kawakyu.jp/ |
2026年7月時点、パンフレットおよび公式サイトより集めた情報になります。
公共交通でのアクセスの詳細(空港バスの落とし穴や無料送迎バスの時刻)は、ホテル川久・宿泊レビューの記事で詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
【まとめ】川久は「バブルの遺産」ではなく「夢の美術館」!

- ホテル川久は1991年完成、総工費400億円・延床26,000㎡の「夢の城」
- 1995年の経営破綻を経てカラカミ観光のもとで再生。2020年に川久ミュージアムが開館
- 宿泊しなくても一般1,000円で見学OK。宿泊者は入館無料+無料ミュージアムツアーに参加できる
- 見どころはギネス世界記録の金箔天井、老中黄の瑠璃瓦47万枚、世界唯一の蒼い列柱、削って描かれた天井画「サラ・チェリベルティ」など
「バブルの遺産」と呼ばれることも多いホテル川久ですが、実際に訪れてみると、世界中の職人が本気でぶつかり合った「夢の美術館」でした。
白浜観光のついでに見学するもよし、思い切って泊まって夜の館内を独り占めするもよし。ぜひ一度、オーナーの理想を詰め込んだこの空間を体験してみてください。
この美術館に泊まってみませんか?
このリンクはアフェリエイトリンクです。
宿泊した際の客室・王様のビュッフェ・温泉については、こちらの川久レビュー記事で徹底解説しています。
この記事が、ホテル川久が気になっている方の参考になれば幸いです。最後までご覧いただきありがとうございました!

