5日間をかけて九州を一周する観光列車「36ぷらす3」。5日間連続で乗車して九州一周旅行にするも良し、1日だけ乗車して特別な気分を味わうも良し。そんな36ぷらす3が走る5つのルートのうち、最も短いものでも所要時間は4時間を超えます。
そんな長時間も乗車していて飽きないの?
という声が聞こえてきそうですね。ご安心ください。停車駅で待ち受ける「おもてなし」や魅力的な車内のおかげで全く飽きませんでした。むしろ、「え?もう着いちゃったの?」と名残惜しいくらいです。
5つのルート毎の「おもてなし」は別記事で解説するとして、本記事では36ぷらす3の車内について徹底解説していきます。長時間の乗車を飽きさせない・疲れさせない車内の様々な工夫や公式には案内されていない特別な楽しみ方をご紹介します。
今回個室(1・2・3号車)は利用しなかったので、4〜6号車を詳しく紹介します!
36ぷらす3って何?基本情報のおさらい
まずは36ぷらす3の基本情報をおさらいしておきましょう。
「36ぷらす3」という独特な名称の由来
観光列車には様々な名称があります。私が乗ったもので例を挙げると「リゾートしらかみ」「しまかぜ」「ひのとり」「伊予灘ものがたり」など、その地名が入っていたり別の固有名詞が入っていたりしますね。
そんな中で「36ぷらす3」。初めて聞いたときは「何じゃそりゃ?」というのが正直な感想。とても固有名詞(特に観光列車を指すもの)とは思えません。
どうやら、この独特なネーミングには様々な意味が込められているようです。
- 九州は世界で36番目に大きい島であること
- 「驚き」「感動」「幸せ」の3つをプラスしたいこと
- 「お客様」「地域の皆様」「JR九州」の3つが一つになること
- 36+3=39(サンキュー)=感謝の輪を広げること
- 九州を楽しむ35個のエピソードが用意されており、乗客自身が36番目のエピソードを周りに語ってほしいこと
いや詰め込みすぎぃ!!
と思わずツッコミをせずにはいられませんでした。これだけの意図があったとは…絶対に初見じゃわからんだろ…。と言いつつもインパクトがあって記憶に残る名称ですね。
36ぷらす3の走るルート
そんな立派な名称をもつ36ぷらす3のキャッチコピーは「旅する九州」だそうです。
その通り、この観光列車の最大の魅力は5日間かけて九州を一周するということ!なお予約は1日毎に行うので、連続して5日の予約をするも良し、1日だけ選んで予約するも良しなのです。(人気なので5日連続で予約が確保できるかは別問題です。)
曜日によって走るルートが違う、というのは他の観光列車ではあまり見られない特徴ですね。
ちなみに私は、旅行ツアーに申し込んで5日連続乗車を確約しました。
36ぷらす3の乗車料金
36ぷらす3には様々な料金パターンがありますが、ここではその路の最長距離かつ最安値プラン(個室でない&食事なしプラン)の料金表をご紹介します。
一つの「路」毎に予約が可能です。最安値で乗車したいなら月曜日運行の「金の路(7,270円)」を利用することになります。
食事ありの場合・実際に私が利用した旅行ツアーの場合の料金についてはこちら↓の別記事をご覧ください。
36ぷらす3のグリーン席(5・6号車)を徹底解説!
今回利用した座席は5号車および6号車のグリーン席。ここからは私が撮影した車内の写真とともに、その詳細な説明をしていきます。
「車内の雰囲気が気になる」という方はぜひご覧ください。
長時間の着座でも疲れない!フカフカの座席
こちらは5号車の座席。和風の文様が可愛らしいシートですね。このシート、見た目以上にフカフカでした。
横から見ていただくとわかりやすいかと思います。よ〜く見ると、背もたれも座面も蛇腹構造になっているのです。この構造のおかげでシートが身体を優しく包みこんでくれるのです。蛇腹一つ一つがフカフカなのですが、頭部はさらに厚みが増してフカフカ。
身体へのフィット感がすごかった…!
座面の厚みも十分。あと見にくいですが、肘置きの下部分にコンセントがあります。一席に一つはあるので安心ですね。
車窓も楽しめる程よい角度までリクライニングが可能。この角度が絶妙で、気を緩めたら眠ってしまいそうです。
座席周りの設備をチェック
前席の背面には十分すぎるほどの収納があり、メニュー表もここにあります。たくさん収納できてしまうので、降車時の忘れ物にご注意ください。
また、足元のゆったり加減も伝わるでしょうか。フットレストはないものの、のびのびと足を伸ばすことができるのです。
この旅の中で、先頭座席になることもありました。前座席がないのでポケット収納はありません。しかし、特別にテーブルが付いています。これだけのスペースがある机があれば困らないでしょう。
すべての座席の肘置きにはミニテーブルが収納されています。(先頭座席の場合も同様。)
このように半分だけ出すこともできたり…
展開することもできます。ちなみにやや右側に傾いているのがわかりますか?
これは窓の景色を楽しみながらミニテーブルを活用できるように敢えてこのデザインになったようです。細部までのこだわりが素晴らしい。
上を見上げれば読書灯があります。電車にはほぼ必ずある機能ですよね。私は使ったことありませんが、需要あるのでしょうか…?
こちらは5号車の車内の様子。床まで統一された温かみのあるカラーリング。照明の一つを見ても「お洒落!」と感じる豪華なデザイン。
大荷物でも安心の車内収納スペース
お洒落要因の一つは、座席上部の荷物入れが飛行機のように展開式であること。
このおかげで通路全体を引いて見たときに「綺麗だな」と感じるのでしょう。
この座席上部の荷物入れで十分な広さがありますが、特大のスーツケースなどは持ち上げたくないですよね。
ご安心ください、各車両毎に専用のロッカールームがあるんですよ!!
こちらは5号車のロッカー。これだけ広ければスーツケースも安心。扉&ベルトがあるので飛び出しも防止されますね。なんて配慮された電車なんだ。
座席の窓にも一工夫
こちらは自席から見える車窓。
座席の窓が雅(みやび)過ぎる!!笑
障子って。ここ電車内やで。あ、ちょっと眩しくなってきた…ブラインド下げるか…
ブラインドが簾(すだれ)って!!雅すぎやろ!!
お洒落すぎて笑いが止まりませんでした。すごいなぁ、これが電車内なんだよな…。ちなみに障子の扉は左右に自由に動かすことができます。
障子の扉を左に寄せた様子。そんなことよりも車窓が美しすぎますね。こちらは九州の左側、東シナ海を走っているときだったと思います。
片側に寄せられるとはいえ、常に障子がある分の面積は車窓の視界が遮られるという点は少し煩わしさがありました。でもこれがあるから雰囲気が良いんだよな〜。「お洒落はガマン」とは至言ですね。
他とは一味違う、6号車の様子
実は36ぷらす3の6号車はさらに映える造りなのです。
なにやら靴が置いてありますね。そう、既に座席の様子を紹介したときに気付いた方もいらっしゃるかもしれませんが、6号車は靴を脱いで入らなければなりません。
しっかりと靴箱まで完備。自分の座席番号の靴箱に靴を入れましょう。(ちなみに他の車両を予約しても6号車に入れます。その場合、靴は出しっぱなしになりますが。)
なんと、電車内に畳!!Oh!Japanese culture!!
外国人観光客も大歓喜することでしょう。私は今までそれなりに多くの電車に乗ってきましたが、車内に畳があるのはこれが初めての経験でした。
靴の締めつけ感から開放されるのでのびのび〜と過ごせるのが最高でしたが、他の乗客からは「トイレの度に靴を履くのは面倒ねぇ」という声も聞こえてきました。まぁたしかに。でも個人的には『特別感>面倒』だったのでOKです。
この6号車の一番奥には、なんとフリースペースがあるのです。
「自分の席の反対側の車窓が見たい」「少し足を伸ばしたい」という需要にピッタリですね。
繰り返しますがここは電車内なんですよ…?
5号車・6号車のみでこれだけの魅力。これらに加えて、共有スペース(3号車・4号車)がある&停車駅にておもてなしがあると聞いたら「4時間なんてあっという間」という言葉に信憑性が出てきませんか…?
36ぷらす3の3号車(ビュッフェ)を徹底解説!
ではここから、共有スペースの紹介に移ります。まずは3号車(ビュッフェ)から。
せっかく36ぷらす3に乗車したのなら、車内の隅々まで楽しみ尽くしましょう!!
3号車の様子と車内販売メニュー
この3号車には車内販売所とスタンプ台、車内で購入できるお土産の見本が展示されています。
松ぼっくりみたいな照明。IKEAにありそうなお洒落照明は、こういう場面で活用されるのですね…。
ここで購入できるものについては自席のメニュー表から確認できます。ちょっとしたお土産、伝統工芸品、軽食からアルコールまで種類豊富な車内販売です。
私はせっかく5日間も乗車できるので、できるだけ多くのお酒・おつまみを楽しみました。そのレビューについては各コースの乗車記をご参照ください。
販売されているお土産・オリジナルグッズのサンプル展示もあります。風呂敷のサイズ感や質感なども実際に触って確認できるので安心ですね。
ちなみに私は最終日にコースター(1,100円)を購入しました。裏がゴム素材でしっかり滑り止めできてお気に入りです。(これもサンプルを触って確かめられたので良かった。)
記念乗車スタンプの裏話
36ぷらす3では「記念乗車証」と「そのルートを解説したリーフレット」をもらうことができます。そのどちらにも記念スタンプを押す箇所があり、「リーフレット」のスタンプは途中停車駅にてスタンプが設置されるシステムです。
当然皆さんスタンプを押すために並ぶのですが、決して長くはない停車時間。ここに並んでロスするのはもったいない…でも記念スタンプは押したい…。
そんなあなたに朗報!実は、スタンプを押せる駅を通過した後に3号車に行くと、そのスタンプも設置されているのです!電車を降りてスタンプを押し忘れた!という場合でも焦らなくてOKですね。
ちなみにスタンプのインクは濃いめ。何も考えずに記念乗車証をリーフレットに挟んだら写ってしまいました…😭
これはこれで記念ですが、皆さんは押印後に少し乾かすように心がけましょう。
もう一つ裏話をご紹介。スタンプを押す際は、持ち手の窪み部分が12時の方向に向くように押印すると綺麗に正面になります。持ち手のイラスト(押印後はコレですよ〜のイラスト)の向きのまま押すと、微妙に傾くのでご注意を。
36ぷらす3の4号車(マルチカー)を徹底解説!
続いては4号車(マルチカー)のご案内です。ここが本当に居心地良く、もしかしたら自席と同じだけの時間をここで過ごしたかもしれません。
思わず滞在したくなる4号車の魅力を徹底解説していきます!
4号車内の様子
こちらが4号車(マルチカー)で、乗客なら誰でも・いつでも利用が可能なスペースです。
これが…電車内だと…?(n回目)
6号車の和風な様子とは変わって、白をベースとした洋風なデザイン。個性が溢れる椅子の形なので、お好みの座席もきっと見つかるはず。写真奥側はカウンター席になっていて、景色を見ながらゆっくりできますね。
やはり見過ごせないのはソファ席。SNSのアイコンにできそうな映える写真が撮れます。(実際にここで記念撮影している乗客が多かった。)
テーブルは金ピカ。ド真ん中に36ぷらす3のロゴマーク。まるで貴族になったかのような気分が味わえるゴージャス仕様ですね。
そして、なんと4号車には本棚があります。本を手にとって4号車で優雅な読書…とても画になりそうですね。できればこの本も読みたかったのですが、車内およびイベントが充実し過ぎてとても読めませんでした。残念。
職人芸が見える細部のこだわり
天井を見上げると、少しずつ異なったデザインであることがわかります。これは何かの伝統的な模様なのでしょうか…?
組み木から漏れる照明がステンドグラスのようで幻想的な空間です。車両デザインを手掛けたのは、豪華クルーズ列車「ななつ星 in 九州」のデザインも担当した水戸岡鋭治氏。あぁ、だからゴージャス仕様なのか。
続いては床をご覧ください。こちらもよく見ると様々なデザインが施されています。アテンダントさんの説明によると、本来はここの部分をすべて有田焼にしようという計画だったそうです。(有田焼=佐賀県)
しかし、安全面を配慮して(有田焼だと滑りやすい)さすがに実現できなかったとか。うん、たしかに床が有田焼だったら恐れ多くて歩けませんね。
細かなこだわりはこんなところにも。これは4号車だけのようですが、使用されるネジ穴が星型になっています。ななつ星を意識したのでしょうか。ぜひ見つけてみてください。
4号車には大型モニターがあり、通常はその地域に関するVTRなどが流れています。
しかし、特定の車内イベント(エピソード紹介)後の少しの時間、この扉を閉めてくださります。これがとっても美しい。
立派な芸術作品を見ているかのような、ジワジワと感動が湧き上がってきます。ぜひここでも記念撮影をしておきましょう。
食事をするなら4号車がおすすめ!?
先ほど紹介したとおり、4号車にはカウンター席があります。机の面積は自席のミニテーブルよりも大きく、お弁当・飲み物を広げつつ景色を楽しみたいならココに来ることをおすすめします。
私はツアー会社が用意してくれたお弁当(36ぷらす3のランチプランのものではない)+車内で購入したお酒で昼食としていました。自席のミニテーブルに置けないこともないのですが、このセットはかなり手狭になってしまう…。
そこで、4号車にやってきてノビノビと広げながらゆったりと食事を楽しみました。乗客が自由に行き来できる4号車、もっと混んでいるかな〜と思っていましたが意外と空いていたので昼食タイムに狙ってみてください。
公式には案内がない、特別な遊び方
さて、ここまで読んでくださったあなたに、車内での暇つぶしにぴったりなゲームをご紹介します。宝探しゲームのような感覚で車内を探検できるでしょう。
36ぷらす3の車内に隠れているツバメ(2羽)を探し出せ!
36ぷらす3のエンブレムにツバメが描かれていたのは覚えていますか?
実は、36ぷらす3は1992年に登場した「特急つばめ」などに使用されていた787系の車両を改造してリニューアルした姿なのです。「特急つばめ」の電車の生まれ変わりだから「ツバメ」が描かれているのかな?多分そうです。
公式HPやアテンダントさんからは一切案内はありませんでしたが、36ぷらす3の車内にはツバメの像が隠されているのです!車内探検のついでにぜひ探してみてください。意外と見つからないです。
私はたまたまYoutuberが紹介していたので知りました。(流し見だったので誰のどの動画だったかは不明)
一応本記事にヒントと答えを載せておきます(ネタバレ防止のため閉じた状態にしておきます)ね。
ヒント① ツバメ像の写真
まずはツバメ像の写真をご紹介します。
一体目がこちら。黒色のツバメ像です。こちらの方は比較的見つけやすいかも…?
では、続いて二体目のツバメ像がこちら↓。
こちらは金ピカ!!美しい!!
個人的には二体目の方が難易度が高かったですね。ぜひ探してみてください!!
ヒント② ツバメ像がある車両を教えます
2つ目のヒントとして、ツバメ像が存在する車両を紹介します。
一体目は…4号車に居ました!写真に映っている天井の模様がヒントになったのではないでしょうか。
二体目は…1号車に居ました!個室グリーン席の1号車。しかし、予約をしていない方でも通路を歩くことは許されます。1号車は6号車と同様畳敷きなので、靴を脱いで探索してみてください。
【ネタバレ注意】答え ツバメ像がある具体的な場所
さぁ、正解発表です!
正解はこちら↑。4号車のバーカウンターの上に居ます!探さないと気が付かないですよね。
続いて二体目は…
「1号車3A」の席表示の上です!
そこそこ高い位置にあるので、高身長でないとなかなか見つからない(私は背伸びして撮影)。また、3A席の方からモロ見えの位置なので撮影のタイミングは配慮しましょう。
私はおもてなし駅の停車中(3A席の方が外にいるとき)に撮影しました!
【まとめ】36ぷらす3は車内設備が充実している
36ぷらす3の車内はいかがだったでしょうか。車内の紹介だけでこのボリューム。4時間以上の電車旅でもまったく飽きない・疲れないのも納得ですよね。
これに加えて、車内イベント(有料のものも無料のものもあります。)も開催されている&途中駅でおもてなしがあるので体感時間は本当にあっという間でした。5日間連続で乗車したのに「まだまだ乗っていたい!!」と心から思わせてくれる素敵な電車でした。
九州一周旅行の選択肢として、または観光列車体験の選択肢として、36ぷらす3にご乗車してみてはいかがでしょうか。本ブログの別記事にて、5つのルート毎の詳細レビューを作成しておりますのでそちらも併せてご覧ください。
2025年1月末に5つのルート詳細レビュー記事投稿が完了します。順次更新いたしますので、全記事の完成まで少々お待ち下さい。